【2021年】データサイエンティストの年収は?日米比較

最も注目を集めている職業と言っても過言ではない、データサイエンティスト。

 

この記事では、

  • データサイエンティストってどのくらい稼げるの?
  • 日本とアメリカで収入は違う?
  • 今後データサイエンティストの収入は上がっていくの?
  • 市場価値を高めるためにはどうすれば良い?

という質問に答えていきます。

 

筆者は、アメリカの大学院でPh.D.(博士号)を取得してから日本・アメリカで就活を経験し、

現在アメリカでデータサイエンティストとして働いています。

 

データサイエンティストの求められるスキル

 

データサイエンティストとは

データを使い実験を繰り返し、データに基づいてビジネスの意思決定を行ったり知見を得る職業を『データサイエンティスト』と呼びます。

 

近年インターネットやコンピュータの処理能力の向上により、データを基に学習してパターンを認識すること(=機械学習)が可能になりました。

これにより、世の中に蓄積した大量のデータを用いることで、より素早く正確に意思決定ができるようになりました。その結果として、データサイエンティストの需要が増え、人気の高い職業となっています。

 

データサイエンティストに必要なスキル

データサイエンティストには、

  • ビジネス知識:ターゲットとなるビジネスのドメイン知識・経験
  • プログラミング:データの処理や、機械学習モデルを作るためのコーディング能力
  • 統計学:機械学習モデルを正しく作り、評価し、効率よく精度を向上させるための統計学・数学・機械学習の知識

が必要になります。

 

また機械学習は研究が盛んで日々新しい手法が提案されるため、勉強を続けて新しい知識を学んでいくことが必要です。

 

データサイエンティストについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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日本のデータサイエンティストの年収

 

平均年収は約600-700万円

転職サイト等で書かれている情報では、年収600-700万のケースが多かったです。

データサイエンティストはまだ新しい職業のため、政府による統計データは見つかりませんでした。

 

日本の給与所得者の平均年収は436万円のため、平均に比べるとかなり高水準であることが分かります。

 

 

僕はアメリカで博士号を取ったあと、ボストンキャリアフォーラムにて日系企業の就職活動を経験しました。

幸運なことにベンチャーから大企業まで内定を頂いたのですが、初任給は大体年間で600万前後でした。

僕の場合は、博士課程でデータサイエンスに関連した研究をしていたのが評価されたポイントだと思います。

 

日本の大学・院の新卒となると、他の理系総合職と同じような水準から始まることが多いですが、

中にはデータサイエンティスト用の採用ポジションを用意しており、新卒から高水準の企業も存在します。

企業名 初任給(年俸)
Line 528万円
リクルート 495万円
DeNA 600万円〜1000万

 

こういった企業は競争率が激しいため、学部卒であっても相応のスキル・知識・研究経験が必要になります。

研究室を決める際に、データサイエンスに関連した研究ができるものを選ぶとチャンスが広がるでしょう。

 

企業によっては、総合職・理系などの枠組みで新卒採用していることも多いので、

実際にデータサイエンティストの業務につけるかどうか入社時点では定かではないことも多いのが現状です。

 

新卒採用は増加傾向にある

近、日本でもビッグデータ活用の重要性が叫ばれており、政府は2019年に『AI戦略』を掲げました。

 

その影響もあり、日本の大学でデータサイエンス教育が進んでいます。

  • 滋賀大学
  • 横浜市立大学
  • 武蔵野大学

などでデータサイエンス学部が設置されました。

たとえ学部名にデータサイエンスがついていなくても、データサイエンスに関連している学科や研究室がある大学も多いです。

 

教育が進み新卒でも即戦力になりうる学生が増えてきたため、新卒採用は増加傾向にあります。

 

しかし就職サイトを覗いてみると、『文系未経験でもOK!誰でもデータサイエンティストになれる!』みたいな求人をよく見かけます。

統計学・プログラミングの知識なしでまともなデータサイエンティストとして働くのは、入社後の並大抵の努力では不可能です。

 

このような求人は『データサイエンティスト』という名ばかりの、

  • Scikit-learnやPandasの既存のパッケージのモデルを使って結果を出すだけ
  • 最悪、Excelやパワポをいじるだけ

といったポジションの可能性が高いです。

理論的な機械学習モデルの理解ができていないため、悪い・間違った結果が出てもどうやって改善するのか分からない。最悪、結果をどう解釈すれば良いのかも分かっていない。実装・運用もできない…。こんな状態ではまともにビジネスにデータを活用できるはずがありません。

 

このような企業に就職するのを避けるためにも、自身のスキル・知識を向上させて面接の段階で企業を見極められるようにすることが重要です。

 

データサイエンティストの今後の収入はスキル次第

僕は今後、データサイエンティストは二極化していくと考えています。

 

以下に特徴をまとめました。

収入・需要が伸びていくデータサイエンティスト 収入・需要が減っていくデータサイエンティスト
どんな企業で働いている?
  • データ活用に力を入れている企業
  • データの基盤が整備されている企業
  • 上層部がデータに対して理解がある企業
  • 他にも優秀なデータサイエンティストがいる企業
  • とりあえずAIで何かしようと思っている企業
  • まともにデータに理解のある人がいない企業
  • そもそも分析に使えるまともなデータがない
どんなスキルを持っている?
  • データの前処理からモデルの運用まで一通りこなせるプログラミング能力
  • 統計・機械学習に対する体系的な理解
  • 何か強みとなる専門分野がある(画像処理・自然言語)
  • 専門分野に関しては、新しく提案されている手法・研究の理解
  • PythonとSQLの入門レベル
  • 機械学習のパッケージを使える
  • 数学・統計学・機械学習モデルの理論的な背景はあまり分かっていない
どんな努力をしている?
  • 新しい手法・特に自分の専門分野は知識をアップデートする
  • 日々の業務に新しい手法を取り入れられるか検討、実験する
  • 学会や勉強会に参加してフィードバックをもらう
  • 日々の業務をしているだけ

 

市場価値の高いデータサイエンティストになるには、

  • データに強い・理解のある企業で働き、
  • 体系的な統計・機械学習の知識、プログラミング能力を身につけており、
  • 自分の強みとなる専門分野を作り、
  • 新しい手法・知識をアップデートしていく努力を続ける

必要があると考えています。

 

  • 現在データサイエンティストとして働いている人も
  • これからデータサイエンティストになろうと考えている人も

これを忘れず努力していきましょう!

 

だい
自分への戒めでもあります。置いていかれないよう頑張らねば…

 

 

アメリカのデータサイエンティストの年収

平均年収は約10万ドル(1100万円)

政府の統計によると、アメリカのデータサイエンティストの平均年収は、$103,930(1100万円強)でした。

日本に比べると約1.5倍程度と高水準であることが分かります。

 

アメリカの給料所得者の年収の中央値は約5万1000ドル(560万円)

アメリカでも平均的な年収に比べ、データサイエンティストは高水準であることが分かります。

 

しかし、日本と違って家賃などの生活費・医療費が高かったりする面もあるので、一概にアメリカの方が良いとは言えません。

特にデータサイエンティストが活躍できるテック企業の多いベイエリアの家賃は、1ベッドルーム(1LDK)で平均$3000(33万円)…

仮に$100,000(1100万円)稼いだとしても、税金が惹かれたら残りは$70,000。家賃で半分以上もっていかれてしまいます…

 

ベイエリアで有名テック企業に勤めれば、3000万円を超える年収を稼げるの可能性もあるので、生活費が高くてもなんとかなります。

 

だい
夢がありますね…。

 

エントリーポジションの平均年収は約9万ドル(1000万円)

Glassdoorなどの就職サイトによると、エントリーポジション(新卒)での平均年収は、$90,721(1000万円)でした。

こちらも日本に比べると高い水準です。

Glassdoor – Entry Level Data Scientist Salaries

 

アメリカでは、2010年頃からデータサイエンスがブームになり、現在では多くの大学でデータサイエンスを教えています。

そのため即戦力となる人材育成ができており、エントリーポジションでも年収が上がっています。

 

また、データサイエンティストのエントリーポジションには、上位の学位が必要になることが多く、

  • 全体の88%が修士号以上
  • 全体の46%が博士号

を持っているという統計データもあります。

エントリーポジションに応募しているほとんどの人が修士以上のため、年収が高くなっているという考え方もできますね。

KDNuggets – 9 Must-have skills you need to become a Data Scientist, updated

 

今後もデータサイエンティストに対する需要は高い

政府の統計によると、アメリカのデータサイエンティストは2019-2029の10年間で、更に31%の需要増加が見込まれているそうです。

アメリカ全体の雇用成長率は平均4%と予測されているので、これも大幅に平均を上回っています。

U.S. Bureau of Labor Statistics – Occupational Outlook Handbook

 

現在でも多くの企業でデータサイエンティストが雇われていますが、

今後も5Gなどの新しい技術で分析に使えるデータが増え、ビジネスへの活用に更に多くのデータサイエンティストが必要だと考えられています。

 

高いスキルを持っている人には日本以上の好待遇

アメリカでも特定の専門分野において高いスキルを持っている人には好待遇である傾向があります。

特に機械学習・人工知能の最新の研究に携わっている人材は、テック企業から高い評価を得ています。

 

画像認識・自然言語など、需要に対してまだまだ十分なスキル・知識を持った人材が少ない分野では、高い収入が期待できます。

  • Snap, Inc. – $238,000(2600万円)
  • Airbnb – $223,000(2440万円)
  • Netflix – $222,000(2430万円)
  • Pinterest – $212,000(2320万円)
  • Lyft – $209,000(2290万円)

Discover Data Science – 2021 Salary Guide to Careers in Data Science

 

体系的な統計学・機械学習の基礎知識を身に着けた後は、ターゲットとなる自分の専門分野を決めて学習を続けていくことで、市場価値を更に高めていくことができます。

 

 

まとめ

この記事では、日本とアメリカのデータサイエンティストの給料について解説しました。

 

  • 日本のデータサイエンティストの平均年収は600-700万
  • アメリカのデータサイエンティストの平均年収は約10万ドル(1100万円)
  • 今後、データサイエンティストとしての市場価値を高めるためには
    • データに強い・理解のある企業で働き、
    • 体系的な統計・機械学習の知識、プログラミング能力を身につけており、
    • 自分の強みとなる専門分野を作り、
    • 新しい機械学習手法・知識をアップデートしていく

必要があります。