応用行動分析を使った3早期療育クリニックでは主に、
- 問題行動を減らす
- できることを増やす(スキルの獲得)
という2つのことを主軸においています。
このポストでは「問題行動を減らす」ときに、ABAクリニックではどういうステップで問題行動を減らしていくかを書きます。
- ABAを使った問題行動をへらす方法を簡単に知りたい
- ABAを実際にどのようにして使ったらいいか知りたい
- ABAを実際に使う際の流れを知りたい
私はアメリカの大学院で特別支援教育を学び、修了後に認定行動分析士(BCBA)の資格を取りました。アメリカの早期療育クリニックにて3年以上働いた経験があります。
問題行動を減らすまでのステップ
私が働いていたABAクリニックでは以下の6ステップの流れで問題行動を減らしていきました。一つ一つのステップの説明については今後のポストでも書いていこうと思います。
- ステップ1問題行動の定義を決める応用行動分析では、行動のデータを取って行動変化を可視化することが重要視されています。行動のデータを取るためには、まず行動の定義を決めます。その後、どんなデータを取るのか決めます。データのとり方は、回数を数える、時間を測る…などなどがあります。
- ステップ2問題行動の介入前データを取るステップ1で決めた定義に基づいてデータを取ります。ある程度の量のデータが取れたらグラフに起こします。実際の行動観察データの他、学校の先生や親への聞き取りなどの調査を追加で行うこともあります。
- ステップ3問題行動の機能(原因)を推定問題行動についてとったデータをもとに、行動の原因(機能)を考えます。
- ステップ3.5問題行動の機能を検証するステップ3で立てた機能の仮説(「こういう原因で問題行動が起きているのでは?」という考え)を確かめるために、問題行動が起こる状況をわざと作り出して本当に問題行動が起こるかテストします。これはFunctional Behavior Analysis(FBA)という名前で、やり方やガイドラインがあります。ですが、実際の臨床ではFBAをやっている時間がない、問題行動が自傷行為など危ないと考えられる場合は行わないことも多いです。
- ステップ4介入方法を考える介入の方向性には2つのパターンがあって、1.問題行動そのものを減らす 2.問題行動に替わる新しいスキルを教える があります。どちらかだけを行う場合もありますが、殆どの場合は1と2両方行います。
- ステップ5介入後のデータを取って介入前と比べる実際に介入が始まったら、その後もデータを取り続け今やっていることに効果があるのか調べます。
- ステップ6介入法を見直す介入を始めて効果がなかったり、予想外の行動が怒った場合は介入方法の見直しを行います。私の経験でよくあるのは、ある問題行動が収まる代わりに別の代替行動がでてきてしまった、という場合があります。
問題行動の対応・具体例
問題行動そのものを減らすことはいうまでもなく重要ですが、応用行動分析では適切な行動を新しく教えるということも大切にしています。
早期療育のABAセラピーでは、問題行動を減らす対策に加えて、適切な行動を新しいスキルとして教えることがほとんどです。
過去のクライアントで、セラピスト(私)に構ってほしいとき
- ものをセラピストに向かって投げる
- 顔の目の前でつばを飛ばす
- おもちゃを壊す
をしてくる子(5歳)がいました。これらの行動をするとセラピストは怒るので、そのことで「注目されたい」という気持ちを満たしているようでした。
どうやって対処する?
いろいろな対処方法があると思いますが、
実際のABAセラピーでは、問題行動に替わる適切な行動はなにか?ということについて考えます。
この注目を得るための問題行動に対して
問題行動を減らす→おもちゃを投げてきたり等、不適切な行動で注目をひこうとしたときは全て無視する
新しいスキル(適切な行動)→「見て!」という言葉を教える。「見て」と言ったとき(または言おうとしたとき)のみ反応する
というルールを作りました。
この結果、「見て」という回数が増え、無視される行動(おもちゃを投げるなど)の回数は減っていきました
まとめ
ここまでABAセラピーでよくやる問題行動を減らすための手続きについて書きました。1つ1つのステップの詳しいやり方については今後のポストで書いていこうと思います。