10分でできる簡単・無料!早期療育のための絵カードの作り方

  • 2021年5月27日
  • 2022年5月20日
  • 療育

早期療育でよく使われる絵カード。

コミュニケーションがとりやすくなることで、子供の

  • 欲しい物が伝わらない
  • 親に伝えたいことがうまくいえない

というイライラを解消し、癇癪・奇声・暴力などの行動を減らします。

この記事では、

  • どうやって絵カードを作ればいいのかわからない
  • 一から自分で作るのは大変そう

という質問に答えるために、とても便利な無料サイトを使った絵カードの作り方について解説します!

 

私はアメリカの大学院で特別支援教育を学び、修了後に認定行動分析士(BCBA)の資格を取りました。

アメリカの早期療育クリニックにて3年以上働いた経験があります。早期療育でよく使われる絵カードは100枚以上作ってきました。

そんな私が編み出した、無料ではやく作る方法を教えます!

簡単!10分で印刷できる絵カードの作り方

10分で絵カードが作れる!connectABILITY.ca

今日、紹介したいのはconnectABILITY.caという無料ウェブサイトです。このサイトを使うと10分ほどで絵カードを作って印刷するところまで持っていくことができます。

 

絵カードを作りには主に2ステップあり、

  1. 絵カード本体を作って印刷する
  2. カードを切ってラミネーターで補強してマジックテープを貼る

がありますが、今日はまずステップ1を簡単に作る方法をお教えします。

 

まずは上記リンクへアクセスして、何枚分の絵カードを印刷するかを決めます(2枚〜16枚まで対応)。

大きさはその子の手先の器用さに合わせて指で貼ったり剥がしたりする操作をできるサイズにします。

 

画像を編集する

編集するページに行くとこのようになっているので、”Add”をクリックして画像を挿入する。

 

画像を写真・イラスト・自分でアップロードした画像から選ぶ

 

 

画像の選び方は主に3つあり、一番上のタブ(ピンクの矢印)で選びます。

  1. 写真のデータから選ぶ(1枚目の画像)
  2. イラストから選ぶ(2枚目の画像)
  3. 自分でアップロードした画像から選ぶ(3枚目の画像の”Choose File”を選択してアップロード)

 

間違えてしまっても”Clear”を選んで取り消すこともできます。

これはカナダのサイトなので、写真のラインナップがやや欧米文化偏っていますが、ほとんどの写真は日本の生活の中でも使うことができると思います。

 

また、検索窓に英語でキーワードを入れると写真とイラストのデータセットから適切なものを表示してくれます(1枚目の画像を参照)。

 

作り終わったら印刷する

 

作り終わったら画面右下の”Save PDF”でPDFファイルを保存するか、または直接”Print”を選んで印刷します。

 

 

完成図はこんな感じ。

 

 

インターフェースが英語なので、やや取り掛かりづらい部分はありますが、操作自体はとてもシンプルで慣れれば4枚程度であれば10分あればできると思います。

 

唯一の欠点・日本語で文字を入れることがができない

とても便利なこのサイトですが、唯一の欠点は単語を日本語で挿入することができません…なので作れるのはシンプルに絵のみのカードとなります。

文字を絵の下に入れたい場合は、オンラインのPDF編集ツールを使うと便利かと思います。

 

PDFを編集 – ブラウザで直接使える無料PDFエディタ

 

絵カードはアイコン・イラストと実物写真どちらを使うべきか

これは個人の特性や生活環境によりますが、個人的にはイラストを使うことをおすすめします。理由は主に2つあります。

  1. イラストのほうが、違う環境で同じものを見たときに理解しやすいから(一般化)
  2. 自前の写真の場合、背景にうつっているものに注目してしまい中心となるものへの理解が阻害される

 

①については、実物の写真を使って教えた場合、学習したことを違う環境に適応しようとする(=一般化)ときに問題が生じる場合があります。

 

一般化」とはある特定の物体をちがう環境・状況でも同じものとして認識することです。

例えば、「くるま」というものの名前を教えたときに、

  • おばあちゃんの家にある青い車=くるま
  • 自分の家にある赤い車=くるま

というように、どちらも「くるま」であると認識できる状態のことです。

 

家で乗っている車の写真1種類のみをつかって「くるま」を教えた場合。

  • くるま=自分の家にある赤いトヨタのカローラ

というように極めて限定されたものとして誤認される可能性があります。

 

その場合、例えばおばあちゃんの家にある青い車は「くるま」として認識されませんし、おもちゃの車も「くるま」として認識されないかもしれません。

写真を使ったほうが視覚からの理解は早そうに見えますが、長い視点で見たときには上記の観点からイラストのほうが良い傾向があります。

写真または絵を使って教える場合は、可能な限り複数の絵や写真を使って同時に複数の例について教えると良いです。例えば、「パン」を教えるために食パン、クリームパン、クロワッサンなどの複数の絵カードを作ってすべてを「パン」として教えるといった感じです。

 

実際に使っていく中で、実物の写真を使ったほうがよい場面もあります。(例:固有名詞を教える場合など)

また、絵やアイコンを使ってみてお子さん本人が混乱している場合は、写真を使ったほうがいいと思います。

 

②についてですが、自閉症の子供はものをみるときに中心部ではなく細部に注目してしまう子が多いと言われています。

そのため、視覚で情報を伝えるときは中心になるもの以外の余分な情報は入れないようにしたほうが伝わりやすいでしょう。

 

絵カードの作り方 まとめ

 

  • connectABILITY.caを使って10分で簡単に絵カードを作成できる
  • 日本語を入力するためには、絵カード作成後にPDF編集ツールが必要
  • 絵カードは実物の写真を使うよりはイラストを使うことで、理解が一般化されやすい

 

ぜひ絵カードを有効活用して、コミュニケーションをより円滑に行いましょう。

 

 

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