やっと出産が終わったと思ったら、その日の夜から無痛分娩の麻酔の副作用で頭がわれるほどのひどい頭痛になってしまった!
どうやらこの頭痛は、麻酔の副作用でで1%の人がなるという硬膜穿刺後頭痛(こうまくがいせんしごずつう:Postdural Puncture Headache: PDPH)というらしい…。この記事は以下のような人のために書いています。
- 硬膜外穿刺後頭痛はいつまで続く?
- どのくらい痛い?
- どんな治療法があるの?
- 症状の経過は?
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硬膜穿刺後頭痛(こうまくがいせんしごずつう)とは?
硬膜穿刺後頭痛は、「こうまくがいせんしごずつう」と読み、英語だとPost Dural Puncture Headache(PDPH)と呼びます。
硬膜外麻酔で針を指したときに硬膜に穴が空いてしまい、そこから髄液が漏れることによって脳の位置がさがることで生じる激しい頭痛が主な症状。
頭痛は、立ち上がるなど頭を横から縦にしたときに起こります(起立性頭痛)。
立ち上がってすぐに頭痛にならないこともありますが、だいたい15分以内には症状が出始めます。また横になると頭痛は消えることも特徴です。
頭痛が発生する箇所としては、後頭部が多いそう。私の場合は、頭頂部、後頭部、こめかみ、目の奥に鋭い痛みがありました。
痛みの種類としては、じんわり痛いというよりは、何かが刺さるような鋭い痛みが断続的に続く感じでした。
無痛分娩を担当した麻酔医からは、1%から2%の人に起こる副作用と説明されました。
ただ症状は一時的なもので、70%の人は1週間以内に症状が収まり、残りの人は2週間以内に寛解するそうです。
硬膜外穿刺後頭痛の治療法
治療法には2つあって
- ブラッドパッチ
- 何もしないでできるだけ休む
という2つの方法があります。
治療法1:ブラッドパッチ
ブラッドパッチは、脊椎硬膜外腔に自分の血液を注入して、麻酔によってできた穴をふさぎ、髄液がもれないようにする治療です。
採血する量は20~30cc程度で、処置自体は30分くらいで終わるかんたんな治療らしいです。
治療法2:痛み止めを飲んで経過観察
PDPHはブラッドパッチをしなくても自然に時間が経てば頭痛は治まります。
麻酔科医には、ブラッドパッチはせず、TylenolとAdvil(痛み止め)を最大量飲んで、できるだけ水をたくさん飲んで休めばなおる!と言われました。
カフェインには血管を収縮させる機能があり、血管の収縮は頭痛を緩和させる効果があるそうです。
麻酔科医からは紅茶やコーヒーを飲んでみるように言われました。
私はブラッドパッチをせず経過観察で過ごしました
私は産後3日目で激痛に耐えきれなくなり、救急外来へ行きました。
そこで診察してもらった麻酔科医に「ブラッドパッチをしてその日のうちに治したい」と訴えましたが受け入れられず、
結局なにもせず経過観察をして自然に治るのを待つことになりました…。(無念)
ブラッドパッチ vs 経過観察どちらがいいか?
私が救急外来で診てもらった麻酔医は、ブラッドパッチをおすすめしない理由として
と言われました。
また麻酔科医は続けて、「あなたの症状はPDPHの症状に一致しているけど、本当に穴が硬膜にあいたかわからない」と言ってきました。
麻酔科医の先生は
硬膜に穴が空いた場合は針を通じて髄液の逆流があるので目視で穴が空いたことがわかる。
私の医療記録には髄液が逆流した記録がないから、穴が本当にあいたかどうかわからない、
と言い、
続けて、髄液の逆流がみえなかったからといって穴があいていないとも限らないですが…とも言われ「結局、穴はあいてるの?あいていないの?」と混乱。
結論として、これが確実にPDPHなのかわからない以上、感染症のリスクをとって硬膜外にもう一度針を入れるブラッドパッチをするのはおすすめしない。
と言いきられたため、ブラッドパッチしたいという私の願いは叶わず、自宅で経過観察することに…。
ちなみにこの日の救急外来に行って帰るまで6時間もかかりました…。治療もできず、頭痛をこらえての6時間は本当に地獄でした…。
医師からのフォローアップ内容
医師からフォローアップの電話があった
ブラッドパッチはできなかったものの、救急外来で診てくれた麻酔科医の先生はとても親身になってくれて、「麻酔科の誰かからフォローアップの電話するね!」と言ってその日は家に帰されました。
と思っていたのですが、ちゃんとかかってきました!
その日の夜22時頃、たぶん当直の先生から電話がかかってきて、
- PDPHの症状の説明と予後
- 対症療法
- 今後もし硬膜外麻酔をする際のリスク
について説明があり、私からも先生に質問することができました。
その後、1週間目までは毎日、そのあと症状が完全になくなる3週間目までは2日に一回、無痛分娩のときに硬膜外麻酔をした医師が「頭痛の調子はどうですか!?」とフォローアップの電話をくれました。
医師の経過観察の電話では頭痛の軽減方法について相談でき、先生もいい人で「治るまでもう少しですよ!」と励ましてくれたのでメンタル的には比較的落ち着いて過ごすことができました。
次回、無痛分娩をする際も硬膜穿刺後頭痛になるか
フォローアップで話した医師は、今回、頭痛になったからと言って次回も頭痛になるわけではないと言われました(安心)。
ただ次回も他の人と同様に1から2%の確率で頭痛になるリスクはあるようです。
「次回、麻酔使って出産するなら産婦人科医に頭痛になったこと言ってね」とは念を押されました。
硬膜穿刺後頭痛になりやすい人
先程のウェブサイトによると、硬膜穿刺後頭痛になるリスクをあげる要因は
- 女性
- 妊婦
- 小柄
- 若年
- 頭痛の既往
麻酔科医の経験年数はリスクファクターではないそうです、意外。
私の症状の経過
私の症状はだいたい3週間くらいかけてすべてなくなりました。
日常生活に支障が出るほどの頭痛は、6日くらいでなくなり、それ以降は痛み止めを飲むことで、多少の頭痛はあるものの普通に過ごせました。
- 1日目(出産当日)痛みレベル:10朝に出産してその日の夜、トイレに行こうと歩いたときに頭が割れるような鋭い頭痛に見舞われる。痛みで泣く。ベッドから立った直後から激しい頭痛になる。痛みはベッドに寝ているとやや収まる。
- 2日目痛みレベル:9カナダは出産後24時間で退院なので朝に退院する。頭痛の痛みの強さは昨日と同じだけど、頭痛が遅れてやってくるようになる。立ってから3分くらいは平気で歩ける。病室から歩いて車まで行き、家に帰る。帰ってからは寝て過ごす。トイレに行く以外の動作は一切できず。横になっている限りは頭痛はなく、スマホなどは操作できた。
- 3日目痛みレベル:6頭痛はややましになって1日目の60%くらいの痛み。ERに行ってブラッドパッチを受けようとするも、麻酔科医が絶対にやらないほうがいいといったため何もできず帰宅。前日よりも立ち上がってから頭痛が起きるまでの時間がさらに長くなる。
ERで痛み止め(タイレノールとアドビル両方)を最大量飲んで痛みが引くかどうか試す。痛み止めで頭痛は1日目の4割程度に。痛いが無理すれば着替えやシャワーができる程度。
- 4日目痛みレベル:5前日と特に変わらず、痛みは1日目の60から50%程度。痛み止めを飲み続ければ40%くらい。日常動作は頭痛を我慢しながらゆっくりなら、なんとかできる感じ。このあたりから、子供の世話もなにもできないし、長時間起き上がれずご飯もうまく食べられなくて悲観的な気持ちに。夫が買ってきてくれたシュークリームを食べて美味しすぎて泣く(情緒不安定)。この日から麻酔科医のフォローアップの電話がかかってくる。
- 5日目痛みレベル:4前日と比べてやや症状が良くなる。初日に比べて40%程度の痛み。日常動作は頭痛を我慢しながら行う。この日、出産後初めてテーブルの上でご飯を食べる。
この日、大学院のオンライン入学面接が5時間(!)ぶっ続けであり、頭痛があるものの無理して参加。面接で「5日前に出産しました」と言って「Oh…wow…」とドン引きされる。
- 6日目痛みレベル:4かなり症状がよくなる。薬なしでも初日比40%の痛みで薬を飲めば20から30%の痛み。日常動作や家事はゆっくりであればだいたいできる。
- 2週目痛みレベル:2薬でだいぶ痛みが軽減する。初日比20%程度の痛み。薬さえ飲んでいれば普通に生活できる。ただし、急に動くとズキッとする程度の頭痛あり。
- 3週目痛みレベル:2痛みは薬ありで初日比20%程度の痛み、ただ頭痛が起こる頻度は劇的に少なくなり1日1から2回程度。3週間と4日くらいで頭痛はまったく起こらなくなった。
頭痛がなくなるのはかなり時間がかかりましたが、日常生活は1週目をすぎるころには休みながらなら問題なく送れるようになりました。
私も頭痛を軽減しようといろいろ試しましたが、一番に即効性を感じられたのは痛み止めを最大量飲む(タイレノールとアドビル3錠ずつ/回)ことでした。
あと、医師に言われたとおり一日2Lを目標に水を飲むようにしていました。
まとめ
- 無痛分娩後の頭痛は、硬膜穿刺後頭痛かも?
- 硬膜穿刺後頭痛は、起き上がると痛くて、横になるとおさまる。
- 治療法はブラッドパッチか何もせず安静に過ごす
- 手術後に頭が痛かったら我慢せず助産師さんに伝える。
- ほとんどの症状は1週間くらいで治る。私の場合は日常生活が送れないくらい支障が出たのは最初の1週間くらいでした。