【カナダの医療】トロントでER(救急外来)に行きました

なれない海外生活では、トラブルはつきもの。先日、夫の頭に切り傷ができてトロントのER(救急外来)に行き、5針ぬったのでその体験について書きます。

だい
死ぬかと思った…
  • 怪我をしてしまった!どこの病院に行けばいい?
  • 怪我をした場合、どのくらいの費用がかかるの?
  • カナダの救急外来ってどんな感じ?待ち時間は?
  • 病院ではどんなことを聞かれる?

といった疑問に答えていきます!

 

トラブル概要

強風警報に気づかず散歩に出かける

その日は土曜日で、夕方頃に家の近くにある自然遊歩道に散歩にでかけました。家の外に出ると風がビュンビュン音をたてていて「あー、今日は風が強いなー」という会話をしながら、歩きはじめました(フラグ1)。

あるき始めて10分ほどすると、遠くの方でバキバキッという不穏な音が…。遊歩道から離れた場所に生えていた木が倒れる音でした(フラグ2)。ここで引き返して家に帰ればよかったのですが、私達は気にせずにそのまま散歩を続けました。

実は、この日トロントを含むオンタリオ州には風速90から120km/時の強風警報がでており、オンタリオ州全体で28万人が停電に合ったそうです。

強風で折れた枝が落ちてきて頭から流血

散歩を終えて家に向かって歩いている途中、背後からバキバキッという音がして振り返ると、背後10m先で木が倒れているのが見えました(フラグ3)。

強くなり続ける風に負けずに歩いていると、頭上からまた木が折れる音がして、木から折れた枝が地面に降ってきました。ふと横を向くと、真っ赤な顔をした頭を抱えてうずくまる夫の姿が…。よく見たら頭から流血しているのが見えました。

だい
丸太が頭に降ってきたかと思うくらいの衝撃で死を覚悟しました…

 

すぐ前を歩いていた家族連れがそれに気づいて、持っていたおしりふきをくれたので、強風が吹き荒れる中、流れ続ける血をおしりふきで拭きながら歩くことに…。15分くらい流血が止まらなくて、どうなることかととても心配になりました。

私は枝が頭にあたった瞬間は見ていなかったのですが、とりあえず本人が自力で歩いていることと、意識がはっきりしていて、傷口も2センチ程度だったので、その場から直接、Uberで病院に行くことにしました。

ERとウォークインクリニックどちらの病院に行くべき?

結論からいうと、ウォークインクリニックに行ったところ、傷口の縫合はERに行けと言われたので私達はERに行きました。

今回、カナダで初めて病院に行くことになり、あまり医療事情をわかっていなかったのでとりあえず予約なしで入れるウォークインクリニック(Walk-in clinic)と呼ばれる場所に行きました。ウォークインクリニックは、自分で選んだ家庭医(Family doctor/General Practitioner)と呼ばれるかかりつけ医がいない人が利用するクリニックです。

家から10分程度の場所に週末も空いているクリニックがあったので、まずはそこへ向かいました。土曜日の遅い時間ということもあり、クリニックには他に2組の人が待っているだけで、受付で保険証の確認をしたあとすぐに医師と会うことができました。

かい
ちなみに傷口の縫合のことは、英語でStiches(スティッチズ)といいます。

クリニックの医師が傷を見て「ここでは傷の縫合はできないから、総合病院のERに行くしかないね。車運転できる?早く行ったほうがいいよ。」と言ったので、そこから一番近いMichael Garron Hospitalに向かうことにしました。

Michael Garron Hospitalの救急外来(ER)

この病院には入り口が複数あり、ERの入り口はMortimer Ave.に面しています。私達はUberで行ったのですが、Coxwell Ave.で降ろされると違う入り口に着くので注意が必要です。

ちなみに最初に降ろされた総合入り口の横の喫煙所で入院着を着たおじさんが大麻を吸っていてカナダを感じました…

Michael Garron Hospitalの駐車場情報

駐車場の情報はここ。敷地内にある駐車場は3$/20分で最大20ドルです。現在、病院の改修工事が行われており駐車場の数はかなり限られています。周辺にはGreen Pと呼ばれる公営の駐車場やストリートパーキング(1時間無料)もあります。

Mortimer Ave.に面している駐車場の看板

ERで医師の診察を受けるまでの流れ

1.受付

まずは受付で、症状の説明と保険証(OHIP)確認をしたあと、患者用のリストバンドを発行してもらいます。パンデミックの影響で、自力で診察を受けられる場合は、診察への付添いは認められないと言われました。私達がERへ行ったときには、車椅子に乗った人が運ばれてきたり、救急車から運び込まれる人も見えました。

 

2.トリアージ(待ち時間:10分)

受付を通るとすぐにトリアージのために呼ばれます。名前を呼ばれたら、ナースと問診を行い、治療の緊急度が高いかどうかを決定します。そして、血圧・体温・心拍数を図り、その後、怪我の箇所の確認、吐き気や頭痛があるかなど質問されたそうです。

 

3.詳しい問診と治療方針の説明(待ち時間:15分)

トリアージが終わると、治療室に入って処置を受けるまで更に待ちます。自分の順番が回ってきたら、ナースにこれからどんな治療が行われるかについての説明を受けます。今回は、頭の傷口を縫合して、傷口からの感染症予防のために破傷風(Tetanus)ワクチン打つように言われたようです。

 

4.治療室で医師と治療(待ち時間:30分)

ここまで来てようやく医師が登場します。医師が再び軽い問診を行い、治療に使う針と糸の説明などをされ、局所麻酔をかけて、ようやく傷口の縫合です。ナースと受付の人は割と事務的だったけど、担当してくれた医師は結構気さくだったらしいです。

だい
妹はGoogleのデータサイエンティストとして働いていて、弟はオースティンで働いているらしく、共通点が多く世間話で盛り上がりました。

 

傷口を縫う処置自体は、まず局部麻酔を打ってから5針縫って、全部で15分くらいで終わったそうです。終わった後は、「You are good to go!」と言われ、そのまま支払い0で出てきました。アメリカなら数千ドルかかっていたことでしょう…。受付してから病院を出るまで全部で2時間弱程度でした。

だい
ちなみに処置してくれた医師(カナダ育ち)も、「医療保険システムはカナダのほうがアメリカよりもずっと良い」と言ってました。

 

5.抜糸は後日ウォークインクリニックにて

傷口の縫合は大きな総合病院のERIに行かなければいけなかったのですが、「抜糸は5日後か6日後にどこでやってもいいよ」ということで6日後に家の近くのウォークインクリニックでやってもらいました。抜糸自体の痛みは、ほとんどなくてチクっとする程度の痛みでした。

 

ERの待ち時間

今回は受付から病院を出るまで2時間程度かかりましたが、実はオンタリオ州ではHealth Quality Ontarioというサイトで病院のERで患者がどのくらい待ったかというデータを公開しています。こんな感じで、それぞれ患者がどれくらいERで待ったかなどの統計を見ることができます。

これをみると平均の医師に会うまでの待ち時間は1.9時間とあるので、今回は平均よりもやや早かったようです。待ち時間はERの混雑具合と患者の状況によると思いますが、一つの目安としては役立つかもしれません。

 

まとめ

  • カナダで傷口の縫合はERに行けばできる、ウォークインクリニックではできない。
  • 縫合後の抜糸は一週間後くらいからウォークインクリニックでもできる
  • ERの待ち時間平均はウェブサイトで調べられる
  • OHIPがあればERでの支払いはしなくてもよい(全額カバー)